2014年9月7日日曜日

媼の住い


桜散り鬱々とした昼下りいとおしくなり猫を撫でやる

遠方の友のメールに花水木咲きそろうとの添え書きのあり

集い来て平均年齢七十八歳春日(はるび)に入学熟年学級

山笑うかと新緑の山仰ぐ鳶が舞いて世はこともなき

庭に咲く花々を見て息災と安堵しました媼の住い

春彼岸日


春よ来い餌をもらえず寒に堪え鯉らはじっと寄り添い過ごす

春待たず鯉数匹が浮いている原因分からずただに悲しい

連翹の小株が花を開き初めここにいるぞと両手をかざす

土佐水木春の空気にそそと咲きわれが心の目薬となす 

うららかな春彼岸日に鶯も来鳴きて父母の墓石洗う

現役自在


見る夢は現役時代に戻りいて失敗ばかりで覚めてやれやれ

寒の池淀み蓮枯れ鯉かくれ雪雲映してじっと待つ春

山茶花は雪を被りて赤く咲く冬の無機質笑うかのごと

紅梅は恋人のごと白梅に寄り沿いて咲く春きたるらし

わが猫は餌食べごろり横になる何処にあろう我との違い

臘梅


元旦に孫に起され目覚めたり年に一度の大家族制

引籠る窓辺に活けし臘梅の満開となり香り薄るる

わが猫は寒風すさぶ野良に出て帰りくるなり冷えた身を寄す

冬温きひと日戸外に猫と我地獄に仏とつぶやきながら

山茶花は霜に覆われ咲いている白粉(おしろい)つけて嫁に行くのか