屋根の小春
雌の首咥えて離すことなかれ真鴨の君にエールを送る
これでもかこれでどうかと進化してここまで来ました孔雀の尾羽は
城奥の姫のかそけき吐息かも石の隙間にたまる花びら
天覆う枝垂桜のしだれ枝に共に揺られて蜜吸う目白
山桜雲湧くごとく咲きしのちぶなの林にまぎれ消えたる
萌え初めし緑の山に目をこらし桜咲きいしあたりをさがす
花ことば「裏切り」という花蘇芳(はなずおう)いく度聞くもその名忘れて
防鳥の縄を緻密に張り終えて鷺来ぬがややつまらなき
鯉呉れて「鮒は捨てよ」と言うけれど先住者には邪険にできぬ
わが猫は屋根に上るも戻れなく降ろせと鳴いて主呼び付くる