2011年7月1日金曜日

小さき命

原発は怖ろしき毒撒き散らし為政者どもは政争の日々

冬を越し生きてようやく春迎うたかが目高の小さき命

牛蛙われの気配に感づきて傍若無人の恋の歌止む

歌づくり「鯉」と打たんと変換に「恋」と表われ暫し眺むる

足焦がす玉砂利踏みて飛び込みし遠き紀の川夏のきらめき

TSUNAMI(ツナミ) その三

歌の題「メルトダウン」としてみるもその言の葉に心が竦む

駄々をこね暴れ放題の原発に政治家どもは権力争い

海人の命と生計(たつき)奪いしはクラーケンとう魔物の仕業か

目覚めては窓開け放つ鯉は無事五月さわやか津波も来ない

鉄線は濃い紫の一輪を何もない朝開きて誇らし

TSUNAMI(ツナミ) その二

災害は政争の具となり被災地を訪(と)う為政者のなにやら空し

流されし四十余万の自動車にチャイルドシートも積まれしままに

わが池に青鷺来ぬは巣作りか地震に避難の家族かなしき

戴きし皇帝ダリアを植えました二〇一一ツナミの春に

おおいぬのふぐりの群は風にゆれ夏の訪れ律儀に告げる

TSUNAMI(ツナミ) 

世界語となりし「ツナミ」は名づけたる母国に牙剥き破壊を尽くす

海神はかくなるまでになぜ怒(いか)る核を扱う民は悪いか

窓のそと春の光が眼に沁みて内のテレビは被災を映す

濁流の津波を眼下に子は父に「逃げるの」と聞き「宿題は」と問う

被災地の卒業式の映像に親を亡くせし心はうつらず