2016年1月27日水曜日

愛猫 小春


凍える心臓


ふきすさぶ師走の風は音を立て凍える心臓いつ止まるやら

年の暮時雨心地にピザを食う晴れ間の見える空を眺めつ

紅色の山茶花今年は不作にてひとつ咲いたら次に一つと

家猫は高齢な上この寒さ細き声で鳴いて擦り寄る

鯉たちは微動だにせず固まりて長いながーい冬を越すべく

平等院鳳凰堂


あこがれの西方浄土をあらわして平等院は硬貨に刻む

鳳凰は万円札に取り込まれあまねく人の世界を照らす

宇治川に添うて歩けば千年のむかしの村にタイムスリップ

これでもかと店の立ち並び天下の宇治茶を誇らしく売る

宇治の地のホームに移りし友の顔農婦変じて色白となる

村祭り


後ろから管を通され大腸の壁を見られるすがたの屈辱

鰯雲高く泳いで秋を知るよろける蟷螂これも秋の日

村祭りカメラ片手に餅もみの青年たちのあと追いかける

声のする方向見ればきみちゃんが元気な姿で畑を耕す

わが猫は我のベッドでひもすがら眠り込んでは空腹で起き


満月仰げばに問いかけるカリフォルニアの見たかと

星空を仰げば無限の大宇宙月は一番近い天体

秋日和車を駆って紀伊の山たどり着いたる熊野本宮

老人ら陶芸作りに挑戦す土こねる手に力を込めて

紋白の番が宙を舞いあそびこの世の秋を謳歌している