2008年3月19日水曜日

雪女

朝朝を追い払いしに今日来ぬはなぜか気になるやせ身青鷺

世をこばみ手に手をとりて天へゆきし若きふたりは風の峠に 

心中をはかりし高野の学僧に近松の代の情念憑きしか  
  
思わざる遠き人よりチョコレート今日の感謝はキリスト様に 

雪女夜毎来たりて白き息かくるも蝋梅凛と咲きつぐ

春一番我に向かいて鞭振るか惰眠を覚ませ起きて働け

わが猫は二歳の若さで恋知らず身も世もあらずただ寝るばかり

指揮棒を掲げし一瞬静まりて怒涛の楽饗弾けるを待つ
―運命交響曲演奏会にて―

ドラマにて何人死ねば終るやら刑事の推理もたつくうちに

庭に先ず黄の水仙を植えつけてひとり朝餉の支度にかかる