秋の気の身に及びきし里山に百舌頻(し)き鳴けりなにを告ぐるか
手に入れし小さき冊子に師の俳句B29を詠いておりぬ
車椅子に今日も来たりてひと時をむらの合切伝えてゆきし
ペガサスのつばさ広げて天かける形の雲の黒くひろごる
壇上に倒れて逝きし歌人(うたびと)は細き身ながら武士の威保(も)ちて
あえぎつつ露踏みのぼる坂道の天に遊べる万の羊ら
暑き秋たちまち黒雲かむさりて雷鳴轟くあすかの棚田
曼殊沙華群れ咲く寺に老婆の手引きて石段登るは嫁か
この朝にたなごの幼魚を貰い受けいそぎ飼い方ウェブで探る
鈴虫もわが一族に迎え入れ産卵の床敷き聴き澄ます