2015年12月17日木曜日

コオロギ


キッチンでコオロギがくチチチチチ、チチチチチチチ、チチチチチチと

今年また異常な夏の猛暑にてこの世の地獄に老いを連れ去り

四十六億年の地球はこれでも安定か地震、火山、台風荒れ狂う

ろうそくに火をつけようと孫たちは目を輝かせる蝋燭祭り

にごり水墓にかけるを憚られ我にも祖先を祭る気があり

土佐みずき


友は言う「土佐みずきに間違いなし」太鼓判にて誇らしく咲く

わが猫にやさしくしよう齢もとりびっこを引けば尚更のこと

待ちわびし春を待たずに死にゆくは鯉いっぴきのあわれな末路

哀れなり年々歳々若返り終には赤子になる映画あり
テロリズム飛行機事故等映像で旅行をせずば遭遇もせず

狼の遠吠え


狼の遠吠え聞こえくるようなこんな夜には月も凍てつく  

うららかな二月の陽気は季の狂い来たる寒波に体備えよ

わが猫はびっこを引いて帰り来るどこのどいつだいじめる猫は

様々なiPSの研究は人間手にした神の領域

白梅の満開なるを前触れにさあ咲き誇れ春の花々

2015年12月5日土曜日

とかげ


雨が降る雨降り続くどこまでも止むことなくばなべて水底

雨止みて茜色なす西の空黒雲延びて明日は台風

花を植えガーデニングとしゃれ込んで日毎水遣り蝶を呼び込む

鬼百合のいつの間に咲き傾いでる激暑の日々はまもなく来るか

わが猫の戦利品かと干からびた尻尾の取れたとかげ一匹

重力に垂るる


俯きてほたるぶくろはなに嘆く前世の罪を背負って泣くか

昨日もホトトギス啼く夜明けからひっきりなしに休みもせずに

鴬はホトトギスとも競い啼く托卵されるを知るや知らずや

重力に垂るるあじさい降る雨の重さに藍のいよよに撓む

わが腹に乗っかる猫の温もりを生きる証しと許しておりぬ

ホトトギス


山里にホトトギス啼く昼下がりかすかな風がカーテン揺らす

高野山千二百年の歴史経て尚空海の影落しいる

雲ひとつ無き碧空を仰ぎ見る従兄弟の妻は召されて天に

薄緑、青、濃い緑、パレットに絵の具を置いて新緑()こう

燕来てかしましく会話する早く家内に来ないものかな

のりおちゃん


のりおちゃん                 実宝教雄

そちこちにしゃがの花咲く竹やぶに鴬が鳴き筍を掘る

春来れば家の周りを雄猫がうろつきまわりわが猫ねらう

新緑の季節めぐりてこともなく悲惨なことはテレビの向こう

北山の尾根の連なり幼少の頃の世界はそのあたりまで

年上らとびしはむかしだに「のりおちゃん」