この夜は管弦楽に抱かれよう蛙の歌をしばし忘れて
曲目は「ビオラ協奏曲」なれば脇役楽器も今宵は主役
パンジーをバイオリンに例うれば花も楽器もビオラは地味か
季来るも新芽のままにとどまれる幼木みずきに水遣りつづく
さつき雨ひえびえ降るに濡れそぼち猫小走りに家路を急ぐ
メタボなるは飽食の罰と饅頭を禁じ耐うるは苦行にも似る
竹炭の窯を築きたりさあ焼こう明日の愉しみ一つ増えたり
ようやくに伸びにまかせし髪切りぬ生まれてこのかた幾百度目なる
晩酌にほろ酔い気分で一日を終えることさえままならぬ我は
狐狸たちの妖力失せて人の世に肉親襲う魑魅とり憑くか