2018年7月10日火曜日

ひこばえ100号記念


盗賊に襲われ闇を韋駄天のごと逃げている初夢に醒む

元旦に孫に起され目覚めたり年に一度の大家族制

むらさきの小さな蝶がちろちろと記憶の闇に棲みついている

独り身は気楽でいいと見栄を張り香水などを付けて外出

忘れ得ぬ小一のころ校庭で疎開の少女が林檎をくれし

誰がために鳴きて血を吐く子規(ほととぎす)付かれぬまま闇を見つめる

学校でりんごをくれしかのひとは覚えていないと同窓会で

鯉は今春の温もり身に受けて呪縛とけたかに身をくねらせて

スローライフついには夜昼取り違え目覚めし朝は暗くなりゆく

濁流津波を眼下子は父に「逃げるの」と聞き「宿題は」と問う
(2011年3月11日東日本大震災)

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