2017年5月6日土曜日

妹よ


妹よ嫁いで幾年背も丸み今はいずこに初恋の君

風さらう桜吹雪もまた風情散り急ぎてはもはや葉桜

粉河寺処々に桜花は満開に贅沢なりし人は疎らに

竹林にしゃが群れ咲きて光射す夢幻か仏の世界

特養に住まう歌友は小奇麗な部屋にこもりて歌作りおり

2017年4月16日日曜日

猫撫で声


水いまだ冷たき池に鯉たちは身じろぎもせず春を待ちいる

初鳴きの声ういういし山里の風まだ寒き春の真昼に

年寄りの猫に優しくしましょうと猫なで声で餌をやりおり

友が来て大根沢山持ち呉れしさてどう食うかレシピの思案

土蜘蛛がパソコン画面に張り付いて存在示す生きているぞと

2017年4月3日月曜日

マラソン


マラソンを走る人人春日浴び東京の街ゴールを目指す

一輪の真赤な山茶花散り忘れ造花のごとく木にしがみつく

町内の小旅行にて銭自慢トラックに積むほどありて目方で計る

わが猫に風邪うつらぬか気にかかりマスクを付けて床に横たう

わが山河追憶の底おさな日に泥鰌(どじょう)鮒いた小川は何処へ

2017年2月2日木曜日

わが里の蟻通神社の正遷宮

我が誕生日

おめでとう孫ら集いて寿ぐは正月二日の我が誕生日

うっすらと積もる雪見て小躍りす我の心は幼児のごとく

積もる朝ここを先途とカメラ持ち解けぬうちにと撮り急ぎたり

山茶花は被る雪にもじっと耐え赤き花びら我に自慢す

わが猫はひたすらベッドに眠りこけ時折覚めては餌をねだりて

2017年1月9日月曜日

漆黒


どこまでもカラスはその身を漆黒に纏うているが血肉は真赤

劇はてて上弦の月仰ぎ見る熱き舞台の栗原小巻 

忘れ得ぬ小一のころ校庭で疎開の少女が林檎をくれし

夕暮れて時間が止まる物憂さに突然轟く鋭い雷鳴

わが里の自慢の長寿愛子さん天に召されぬ満百五歳

2016年12月4日日曜日

石蕗(つわぶき)



山茶花は天の馬より白く咲きわれの(なずき)を覚醒させる

百舌の鳴く金切り声に目覚むれば日本晴れの今日が始まる

猫の世に孤独はあるか摺り寄りて温もり寄する冬を間近に

鶺鴒がわたしの前を横切りぬ宇宙の摂理と関係もなく

いつの間に黄色を放ち石蕗は狭庭の隅で存在示す