2015年3月2日月曜日

メリケン波止場


探査機は十年旅して彗星に取り付いたとか「ロゼッタ」バンザイ

石蕗は少女のようにひっそりと庭隅に咲きはにかんでいる

わが猫の一芸はわれかざす手に鼻をすりつけ餌をねだること

霜月の小春日和に大地震ありとの報道死人ゼロとも

老人会メリケン波止場に集合す修学旅行の若きら眺めつ

ぶり大根


青鷺の物思いする仕草にて水辺に佇む哲学者のごと

安楽死選ぶ女性のニュースみて自問自答すこの齢にして

台風に倒れしコスモスたちまちに枝起きてきて花宇宙(そら)に向く 

ぶり大根作るたんびに味変わり失敗したり成功の日も

山茶花の白咲き初めて百舌の声田舎暮らしにまた秋がきた

2014年12月1日月曜日

名月


月をみて感動もなくひたすらに団子ほおばる爺さん七十

名月を愛でるかたわら異国では戦火交える人間たちも

土をこね土器を作ると張りきって老人たちのにわか陶芸

虫しぐれ浸みいる夜は悲しくて秋の長けゆく闇を見つめる

秋空に宇宙の広さ想像しコスモスとう名の花見つめいる

2014年10月7日火曜日

いかだ下り


激流のいかだ下りの船頭はお客の悲鳴に笑顔で応える

遠く来て熊野本宮八咫烏サッカー少年両手を合わす

朝顔の咲きて雷雲真青な空に湧き上がる原爆の日に

歯が痛く鬱々としてやけになり猫の尻尾を掴み振り上ぐ

蓮の池水面も見えずに繁茂して夏の終わりに花咲き狂う

南無阿弥陀


むらさきの小さな蝶がちろちろと記憶の闇に棲みついている

わが猫のぐったりしている様を見よ地獄の使い傍に来ている

南無阿弥陀友の行くのは黄泉の国暑さ寒さもなかろう国か

梅雨明けと気象庁より告げられぬ梅雨は明けても心は晴れぬ

夜のうち田を掘り返す猪の空腹抱える家族を思う

若き女性


若き女性                  実宝教雄

歌に言う「めだかの学校川の中」ガラスの水槽平成の今

夏近く雑草繁茂する畑は昔々は父祖の水田

悠然と翼広げて青鷺は茜の空を飛び去りて行く 

唐突の若き女性の訪問に保険屋と知ってもときめいている

家猫の他人にすり寄りわが嫉妬かすかに覚える梅雨の晴れ間に

星星


星星を見上げしのちに戸を閉ざす睡眠前の慣わしとなり

わが里に命のるつぼ魂をうつ百花の咲きて鳥競い鳴く         

わが猫は夜の異界に消えてゆく帰り来るのは明け方近く

緑濃く鶯の声いつか止む子育てなるか山のどこかで

「新世界」交響楽にアメリカで祖父働きし農場思う