2018年1月19日金曜日

たった一輪


山茶花はたった一輪花をつけ白き孤高の光を放つ

庭隅に石蕗咲いてその黄色ここにありきと主張している

寒き秋皇帝ダリアの遅く咲き霜のくるのを恐れつつ観る

秋の日の展覧会に油絵を出展するも羞恥の極み

猫眠るベッドの端でいつまでも夜には目覚め戸外に出せと

2017年12月11日月曜日

おやじ


百舌が来てキリキリキリと鳴き叫ぶ私のどこが気に喰わないか

コスモスのあわれに倒れ空仰ぐよせばいいのになお花つけて

猫帰るまるで夜遊びしたように何食わぬ顔して餌を頬張る

ことわざに「地震雷火事おやじ」親父でなくて台風(おおやじ)だとか

停電で闇を見詰めて思うこと元同僚の名前を手繰る

2017年11月26日日曜日

我は芥子粒(けしつぶ)


広大な宇宙の果てに地球とう惑星に住む我は芥子粒

鈴虫の音を聞きながら夜を過ごす田舎暮しは板についたか

秋の夜の猫と私の競うことどちらが先に天に召される

秋彼岸妹と共に墓参して墓仕舞いする話題に終始

手術後の友に付き合い喫茶店よもやま話で時間を埋める

2017年11月14日火曜日

盂蘭盆会


蜂の子が窓に飛びつきあがきいる外の世界に出してくれよと

三日月が西に傾き赤く耀る明日も暑いと言わんばかりに

孫ら来て先祖らが来てひとときはにぎわいている盂蘭盆会には

猪は耕作放棄地を鍬ならぬ鼻でしっかり耕してある

虫すだくこの暑さにはそぐわないもう一度蝉よ鳴いてくれぬか

2017年8月26日土曜日

金星よりは


通るたび垣根に群れて咲き盛るノウゼンカズラ主はいま亡く

球場に無念のサイレン鳴り渡る高校最後にコールドゲーム

この暑さ金星よりはまだましとつぶやきながら冷房漬けに

降り注ぐ竹の葉やめば夏が来て入道雲の高くそびえる

猫ぐたり毛皮を脱げよ見るからに暑苦しくて目も当てられぬ

2017年7月15日土曜日

蜘蛛の巣


あちこちに蜘蛛の巣張りて払えども又いつの間に元の木阿弥

曇天に青空よりも青く咲く紫陽花の青気分晴れ晴れ

鶯の春から夏へ鳴き渡る妻を娶りて幸多くあれ

誰がために鳴きて血を吐く子規(ほととぎす)寝付かれぬまま闇を見つめる

雨降れば農の休みと友が来て世界のニュースをあれこれ語る

2017年6月15日木曜日

花笑う

           
山笑い猫鳥笑い花笑う初夏の珍事は白昼の夢


薫風を受けてきらきら光る樹々鶯の鳴く里に乾杯


東京に住まう息子をふと思いとりとめのない電話を掛ける


めぐり来て脳の手術を受けたとう翁は出雲の玉串を売る


これからは趣味を持たねばとう友のカメラを求めて量販店に