2014年10月7日火曜日

星星


星星を見上げしのちに戸を閉ざす睡眠前の慣わしとなり

わが里に命のるつぼ魂をうつ百花の咲きて鳥競い鳴く         

わが猫は夜の異界に消えてゆく帰り来るのは明け方近く

緑濃く鶯の声いつか止む子育てなるか山のどこかで

「新世界」交響楽にアメリカで祖父働きし農場思う

2014年9月7日日曜日

媼の住い


桜散り鬱々とした昼下りいとおしくなり猫を撫でやる

遠方の友のメールに花水木咲きそろうとの添え書きのあり

集い来て平均年齢七十八歳春日(はるび)に入学熟年学級

山笑うかと新緑の山仰ぐ鳶が舞いて世はこともなき

庭に咲く花々を見て息災と安堵しました媼の住い

春彼岸日


春よ来い餌をもらえず寒に堪え鯉らはじっと寄り添い過ごす

春待たず鯉数匹が浮いている原因分からずただに悲しい

連翹の小株が花を開き初めここにいるぞと両手をかざす

土佐水木春の空気にそそと咲きわれが心の目薬となす 

うららかな春彼岸日に鶯も来鳴きて父母の墓石洗う

現役自在


見る夢は現役時代に戻りいて失敗ばかりで覚めてやれやれ

寒の池淀み蓮枯れ鯉かくれ雪雲映してじっと待つ春

山茶花は雪を被りて赤く咲く冬の無機質笑うかのごと

紅梅は恋人のごと白梅に寄り沿いて咲く春きたるらし

わが猫は餌食べごろり横になる何処にあろう我との違い

臘梅


元旦に孫に起され目覚めたり年に一度の大家族制

引籠る窓辺に活けし臘梅の満開となり香り薄るる

わが猫は寒風すさぶ野良に出て帰りくるなり冷えた身を寄す

冬温きひと日戸外に猫と我地獄に仏とつぶやきながら

山茶花は霜に覆われ咲いている白粉(おしろい)つけて嫁に行くのか

2014年5月3日土曜日

当麻寺(たいまでら)




極月


さ庭辺に蒟蒻を煮る煙たち師走の風はもみじ葉さらう

さ庭辺にもち米を蒸す煙たち年の瀬の風頬をなぜゆく

極月に友は八朔穫り入れる独り黙して氷雨に濡れて

極月に秋冥菊は棉となり風に抱かれ何処までも行く

わが猫は年の瀬を知らず正月も知らずに年を越そうとしてる