2011年2月23日水曜日


当麻寺

奴凧揚ぐ

 
元日を孫と連れ立ち誰も居ぬ広き河原に奴凧揚ぐ

水槽に入れしヒーター壊れいて死にし稚魚らに声にして詫ぶ

悪夢より目覚めし朝に窓を開け雪雲覆う嶺を眺むる

厳冬の高野に登る遍路らの吐く息白く笠に雪乗る

新年の歌会の記念写真には幸せに満つ顔の居並ぶ

2011年1月26日水曜日


老柿

山茶花

わが猫

   

寒風の河原に捨てられ泣いていし子猫は今や何喰わぬ顔

わが猫と同じ家屋に起居せるに互の愛憎共にして生く

昼夜なく戸を開けさせて出入りする猫は忠誠試すかのごと

車椅子の友の膝にてくつろぎて目を閉ず猫に微かな嫉妬

鳥を獲り蛙捕らえて得意げにわれにさしだす猫の哀しき
   

2010年12月11日土曜日


枯蓮(蜂の巣状の花托に種が宿っている)

万葉古道

短冊にしたためし歌宅配に文化祭にと町から届く

霜害の柿の不作に農は泣く関税廃止の風吹く中に 

鯉の稚魚餌を欲る仕草に心すも鬼ともならん水ぬるむまで

万葉の古(ふる)道(みち)行くに妹(いも)連れぬ男(おのこ)の旅の侘しさ想う      

半島の悲劇をよそに暖房の部屋に籠りて余生愉しむ