2012年10月8日月曜日

高野山青葉祭

時代の装束

虫一匹


庭の草引きぬきおれば唐突に虫一匹が胸に飛び込む

鯉の餌野良猫食べて減っている空腹だろう少しはいいか

蝉の声いつしか止みて虫すだく猛暑の中にも秋は来ている

小さくて朝顔に似た花咲きて小さなかずらも朝露に濡れ

捨ておきぬめだかの曹に稚魚生まれあわてて餌を求めて走る


2012年6月14日木曜日

金環食


ちちははの遠くになるも今年また椿は咲きて池面に落ちる
わが猫の蜥蜴をしとめる腕のよさしたり顔にて迷惑知らず
わが庭に花菖蒲咲きわが池に鯉の遊ぶは皐月の光景

藪に鳴く鶯の声長けてきて緑の色はいよいよ深し


生きていて金環食に遭遇す三百年後の子孫はいかに

2011年11月29日火曜日

ナバナの里

11年11月16日

祭り日

「ひこばえ」20号より

捕らわれて脱出叶わぬ蟷螂は虫かごの隅に卵産み付く

我が家にて餅搗きくれるご近所ら独りの身にも明日は祭り日

コスモスにカメラを向けて覗いても知らぬふりしてただ揺れるだけ

七十の手習いの書を披露せば上手上手とみな褒めくるる

夕日浴び光る雲の嶺よぎるのは増えし川鵜の黒き編隊

逝きし友

「ひこばえ」19号より

友逝きて信者ら送る讃美歌にわれも唱和す夜の教会

涙して孝行足りずと挨拶す長兄の声母に届くか

アグネスとう洗礼名を頂きて天に召さるる友の魂

赤トンボ飛び交う空の気は澄みてひととき我の脳は藍色

わが見立て百歳保証のかの媼八十にして病を知らず

トンボ

「ひこばえ」18号より

音信の途絶えたる元同僚ら次々電話で台風見舞

想像を絶する雨を叩きつけ神々の住む山を破壊す

山にても津波の力彷彿と命はぐくむ水も怒れば
        ―平成二十三年十二号台風―

滝昇る遺伝子を持つ鯉の稚魚水槽飛び出し死のダイビング

驟雨去りわずかに濡れし舗道にてトンボの番産卵しきり